サイバーステップ

創業者(社長):佐藤類(るい)氏

佐藤類(るい)氏

プロフィール

1977年 香川県生まれ(実質的には東京都出身)
1998年 東京高専卒業
1998年 フリーランスSE(システムエンジニア)として従事
1998年 仲間とともに事業の準備を開始
2000年
4月
個人事業主として創業
2000年
7月
有限会社を設立
2001年
8月13日
株式会社へ改組
2005年 会長に就任
2006年 社長に復帰

創業期

起業のきっかけ

創業者・佐藤類氏は、インターネット環境の不便さに憤りを感じていた。

ウェブサイトを見る際、画像やデータを表示させるのに時間がかかった。

またネット上にアップロードするには、ファイル転送のためのFTPソフトウエアを使わなくてはならなかった。

これでは、コンピューターを介したコミュニケーションがスムーズに進まない。

「インターネット上を東京・渋谷駅前の交差点くらいに騒がしくしたい」と考えた。

多くのユーザーが常時双方向でコミュニケーションがとれる環境を提供すべく、起業へと動いた。

1998年の立ち上げ時は、4人

1998年に事業を立ち上げた。

佐藤類社長を含めて仲間がわずか4人だった。

研究開発は2人。残りの2人は地域のポータルサイトを月1万円で作るなどして、日銭を稼いでいた。

その後は、開発者を他社に派遣する収入で経営を維持していた。

受託をやめて、自社開発へ

他社からの受託開発も手がけた。

しかし、度重なる値引き合戦に嫌気が差した。

「これではただの受託業になってしまう」という危機感を抱いた。

2001年に思い切って受託の収入源を断ち切った。

目先の売上を捨て、自社開発のみに絞ったのだ。

べンチャーキャピタルから出資

べンチャーキャピタルの出資を得て、自社開発に全力を投じる環境ができた。

それが大きな転機となった。

「Java」の技術で高評価

ゲーム会社向けのミドルウエアを開発した。

あまり売れなかった。だが、ホームページ上でソフトを動かす「Java」関連の技術の高さが、業界内で評判になった。

【成長期】オンラインゲームでアジア進出

「ゲットアンプド(GetAmped)」

オンラインゲーム「ゲットアンプド(GetAmped)」を開発した。東京都調布市の小さな雑居ビルで作られた。

2002年5月に韓国のウィンディソフトが運営会社として名乗りを上げた。

2004年5月から商用サービスを始めた。

口コミで高評価

ゲットアンプドでは、最大8人までのプレーヤーが参加できた。

参加者がキャラクターを操り、他の人とバトルを繰り広げる。

キャラクターを自由にコーディネートできた。自分らしさを出すことができた。

同時に、他のプレーヤーとコミュニケーションできた。それが口コミで高評価を得た。

「快適に遊べる」と評判に

ネットを介してデータを送受信する際、操作とキャラクター動作のずれがなく起こりがちだった。

しかし、GetAmped(ゲットアンプド)はそれが少なかった。

快適に遊べ爽快(そうかい)感を味わえる点が、評判になった。

2000年代の市場

オンラインゲーム市場。

2005年ごろ、日本で市場規模が数百億円に達した。

その人気の中心を占めたのは、韓国や中国生まれのゲームだった。

代表例が「ラグナロクオンライン」だった。

それでも、日本では家庭用ゲーム機が圧倒的なシェアを持った。伸び悩んだ。

韓国で大ブレーク

しかし、サイバーステップのゲームは、オンラインゲームの“本場”となっていた韓国で受け入れられた。

並み居る韓国製ゲームを押しのけ、トップクラスの人気を獲得した。1000万人が登録した。

韓国では早くからブロードバンド(高速)通信網が普及した。優れたオンラインゲームが続々と登場した。

中国へ進出

その勢いに目をつけたのが、中国を代表するIT企業といわれていた「盛大ネットワーク」だった。

盛大は上海で1999年からオンラインゲーム関連ビジネスを展開し、国内シェアで6割を持つ有力企業。2004年5月に米ナスダック市場に上場して話題となった。

盛大と提携

サイバーステップは2002年に、この盛大から「ゲットアンプド」の提供を打診され、運営権ライセンスを締結した。

運営権ライセンスとは、その国でのゲーム運営を、すべて任せるというものだ。

海外でのライセンス提供戦略

海外では、それぞれの国の企業とライセンス契約を結んだ。

通信事情も違えば許認可などの手続きも違う。

自社で進出してサーバーを立ち上げ、ゲームを提供するのは難しい。

運営ノウハウを持つ現地企業に任せ、開発に徹した。

中国に限らず韓国、タイ、台湾、インドネシアでも、運営権のライセンス提供を行った。

コピー防止に全力

コンピューターの世界で懸念されるのが、「盗作」だ。具体的にはソースコード。つまりソフトの設計図だ。

似たゲームを出されて顧客を奪われてしまうことがある。とくに中国では、著作物のコピー問題が常に付きまとう。

この点について、サイバーステップでは、開発はすべて自社で行ったうえで、暗号化をかけて中身を読み取られないようにして渡した。

オンラインゲームのメリット

従来のパッケージソフトは、開発から店頭に並ぶまでで流通が終了する。

それに比べ、オンラインゲームはサービスを常に行なって来場者に継続して利用してもらうことが重要だ。

それができればコンスタントに収益を上げられる事業でもある。

上場後

2006年7月5日、東証マザーズに上場した。

韓国でトップ3に食い込む

上場したころには、オンラインゲーム市場がさらに拡大していた。年齢も国境も関係なく、瞬く間に世界中に広がるようになっていた。

そんななか、「ゲットアンプド」は強豪がひしめく本場・韓国でベスト3に食い込み、圧倒的な人気を誇る『リネージュ』『ミュー』と並ぶ勢いをみせた。

当時の韓国は、人口が5000万人にも満たないのに、ユーザー数が1000万に達したほどだった。

ローカライズ

サイバーステップは、ゲームのローカライズをさらに進めた。

各国の運営会社に協力してもらい、アイテムやオプションなどを現地のパートナーと意見交換しながら工夫していった。

例えば韓国ならテコンドーの要素を持ったアイテムを入れた。中国では、プレーヤー同士が同性でもゲーム上のキャラクターが男女であればオンライン上で結婚できる「結婚機能」を導入した。

動画

佐藤類氏の講演